新入社員の頃、仕事をしていて困ったことの一つが、「どの仕事から手をつければいいのか分からない」ということでした。
僕はJTCのグループ会社で技術系の仕事をしているのですが、複数のプロジェクトを並行して進めることが多くありました。
親会社のいろいろな部署から仕事を依頼されるため、一つのプロジェクトだけを担当しているわけではありません。
例えば、あるプロジェクトで強度試験をしながら、別のプロジェクトでは物性試験をする。そのほかにも設備の仕様を決めるための試験や、品質改善の実験、報告書の作成、会議資料の準備などがあります。
仕事が重なってくると、
「結局、どれからやればいいんだ?」
となります。
今振り返ると、仕事の優先順位を決めるときに大切なのは、いきなり「どれを優先するか」を考えることではありません。
まず、自分が抱えている仕事の総量を把握することです。
そのうえで、納期や設備の予定、他部署との関係などを整理して、必要なら上司に判断してもらう。
今回は、僕が技術系会社員として仕事をする中で身につけた、仕事の優先順位の考え方について書いてみます。
目次
新入社員の頃は複数の仕事を並行していた

僕の場合、複数の実験やプロジェクトを同時に進めることが普通でした。
一つのプロジェクトだけでも、
- 強度試験
- 物性試験
- 設備の仕様を決めるための試験
- 品質改善の実験
- 報告書の作成
など、いくつもの作業があります。
それが同時に4つくらいのプロジェクトで動いているような状態です。
さらに会議にも参加するので、その資料を作ることもあります。
つまり、
「一つの仕事を終わらせてから次へ」
という進め方ができません。
複数の仕事を同時に動かしながら、それぞれの納期や設備の予定を見て、順番を決めていく必要があります。
仕事の優先順位は「納期」から考える

では、複数の仕事があるとき、何を基準に優先順位を決めるのか。
僕がまず見るのは、納期です。
ただし、ここでいう納期は単純に「○月○日まで」という日付だけではありません。
まず「納期の意味」を確認する
例えば、
- 自分の仕事そのもののリミットなのか
- 他部署に資料を渡す期限なのか
- 次の工程を始めるための期限なのか
- 会議までに結果が必要なのか
など、納期にもいろいろあります。
ここは結構重要です。
「○日まで」と言われたときに、単純に日付だけを見るのではなく、
「その日までに何が必要なのか?」
を確認します。
例えば、他部署に試験結果を渡す必要があるなら、その部署が次の仕事を始めるために必要な日が本当の意味での期限かもしれません。
だから僕は、まず仕事の納期を確認します。
その次に見るのが、設備の予定です。
納期だけではなく「設備の予定」も見る

技術系の仕事では、自分だけで仕事のスケジュールを決められないことがあります。
特に実験設備を使う仕事では、設備の空き状況が重要です。
試験機の予定を逃すと仕事が止まる
例えば、土質系の強度試験をするとします。
供試体、いわゆるテストピースを作って、そこから14日間養生して、その後に強度試験を行うような試験です。
この場合、
供試体を作るための機械と、14日後に強度試験をする機械の両方が空いていなければいけません。
ここが意外と重要です。
供試体を作る機械が空いていたからといって、すぐに作ればいいわけではありません。
14日後に強度試験をする設備が空いていなければ、
「供試体は作ったけど、試験ができない」
ということになります。
そうなると、結果が出る時期も遅れてしまいます。
だから、仕事の納期だけを見るのではなく、
「その仕事を予定どおり進めるために、いつ、どの設備が必要なのか」
まで考える必要があります。
品質管理の試験とバッティングすることもある
僕が使っていた強度試験機は、自分たちの実験だけでなく品質管理にも使われていました。
当然、品質管理の試験は優先されます。
そこで、自分の仕事については18時以降の遅い時間から試験をするなど、設備の予定を調整することもありました。
こういう事情があるので、
「自分の仕事の納期はまだ先だから、後でいい」
だけでは判断できません。
設備が空いている今のうちに進めた方がいい仕事もあります。
僕はExcelで仕事の予定を整理していた

複数の実験を同時に進めていたので、僕はExcelで予定表を作っていました。
横軸に日付、縦軸に仕事を並べる
イメージとしては、横軸に日付を並べて、縦軸に「何をするのか」を並べます。
表の中には、
- どんな試験をするのか
- いつからいつまでかかるのか
- どのくらいの期間が必要なのか
などを書いていました。
こうしておくと、複数のプロジェクトを並行して進めていても、
「この週はこの試験が入っている」
「この試験の後に別の仕事を入れられる」
という全体像が見えるようになります。
予定表を上司にも見せる
この予定表は、自分だけで使うものではありません。
抱えているプロジェクトの予定をまとめて、上司にも見せていました。
自分が何をどれだけ抱えているのかを共有しておけば、仕事が重なったときにも相談しやすくなります。
優先順位を決める前に「仕事の総量」を把握する

ここが、今回の記事で一番伝えたいことです。
仕事が重なったとき、いきなり「どれを優先しよう?」と考えるのではなく、
まず自分が何を抱えているのかを把握します。
まず自分が抱えている仕事を全部書き出す
例えば、
- A:強度試験
- B:物性試験
- C:品質改善の実験
- D:報告書作成
- E:会議資料の作成
というように、まずは全部出してみます。
そのうえで、
- いつまでに必要なのか
- どれくらい時間がかかるのか
- どの設備を使うのか
- 他部署との関係はあるのか
などを確認します。
頭の中だけで管理していると、仕事が多くなったときに抜け漏れが出ます。
一度、紙に書き出してみるのもおすすめです。
僕自身、情報を把握するときは、パソコンで入力するよりも紙に書き出した方が整理しやすいと感じています。
パソコンだと入力ミスや抜けが起こることもありますが、紙に書いて全体を眺めると、仕事同士の関係や重なりが見えやすくなります。
以前紹介したA4ノートも、こうした仕事の整理に使いやすい方法の一つです。
複数の仕事を頭の中だけで管理するのは難しいので、僕は仕事の整理にA4ノートも使っています。なぜ一般的なB5ノートではなく、A4ノートを仕事に使うようになったのかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。→会社ではA4ノートを使おう【字が汚い僕がたどり着いた結論】
仕事以外の制約も一緒に整理する
仕事の総量を把握するときには、仕事そのものだけでなく、周囲の条件も一緒に見ます。
例えば、
- 試験設備の予定
- 他部署の予定
- 他拠点との調整
- 相手側の納期
- 品質管理の予定
などです。
自分の仕事だけを見ていると、
「これはまだ先でいい」
と思っていた仕事が、実は設備の都合で早くやらなければならないことがあります。
逆に、自分では重要だと思っていた仕事が、上司からすると「それは後回しでいい」ということもあります。
だからこそ、まず全体を把握することが大切です。
仕事が自分のキャパの8割になったら上司に相談する

僕は入社3年目くらいから、仕事が自分のキャパシティの8割くらいになった段階で、上司に相談するようになりました。
きっかけは、忙しすぎてギリギリまで頑張ることに疲れたからです。
「もう無理」という状態になってから相談するのではなく、その前に相談する。
今ではその方がいいと思っています。
「忙しいです」だけでは上司も判断できない
例えば、
「仕事が多くて大変です」
とだけ言われても、上司は判断できません。
何がどれだけあるのか分からないからです。
そこで、まず自分が抱えている仕事を整理します。
「A・B・Cがあります」と整理して相談する
例えば、
「今、A・B・Cの3つの仕事があります。Aは今週、Bは来週、Cは今月が期限です。僕としてはAを先に進めようと思っています。ただ、試験機の予定はこうなっています。どれを優先した方がいいでしょうか?」
というように相談します。
ここまで整理しておけば、上司は仕事の状況を一から確認する必要がありません。
判断だけしてもらえばいい状態にしておく。
これは僕が仕事をする中で、自然と身についた考え方です。
振り返ってみると、仕事がややこしくなったときと、うまく進んだときの違いは、こうした「整理」ができていたかどうかだったように思います。
上司に相談するときも、いきなり「どうすればいいですか?」と聞くのではなく、まず自分が抱えている仕事や条件を整理しておくことが大切です。僕が仕事で「事実を整理してから相談する」ことを意識するようになった経緯については、こちらの記事でも詳しく書いています。
→ベテラン社員への相談の仕方【新入社員の頃に知りたかったこと】
優先順位は自分だけで決めなくていい

仕事をしていると、自分では重要だと思っていた仕事が、実はそれほど急ぎではなかったということがあります。
逆に、
「これは後回しでいいだろう」
と思っていた仕事が、実は急ぎだったということもあります。
例えば、親会社から仕事を依頼されている場合、仕事によって会社に入ってくるお金の大きさが違うこともあります。
自分からすると「こっちの仕事を先にやった方がいい」と思っていても、会社全体から見ると別の仕事を優先した方がいいことがあります。
これは、経験の浅い社員には分からないこともあります。
上司は自分には見えない事情を知っている
上司は、自分が知らない情報を持っていることがあります。
例えば、
- 他部署との約束
- 親会社との関係
- 会社としての優先事項
- 設備の予定
- プロジェクト全体の進み具合
- 予算や費用
などです。
だから、
「優先順位を自分一人で決めなければいけない」
と考えすぎなくてもいいと思います。
自分に見えている範囲で状況を整理し、それでも判断できない部分は上司に判断してもらえばいい。
そのために、自分の仕事の総量と周囲の条件を整理しておくのです。
自分には見えていない事情を知るためには、目の前の仕事だけを見るのではなく、「なぜこの仕事をするのか」「なぜこの期限なのか」といった背景まで理解することも大切です。僕自身、仕事をする中で「背景を知ることで、仕事の見え方が変わる」と感じることが何度もありました。→JTCで働いていて、背景を知ることが大切だと思った話
上司に「判断してもらう」ために整理する

ここまでの話をまとめると、僕が考える仕事の優先順位の付け方は、単純に仕事をランキングにすることではありません。
まず、
- 自分が抱えている仕事を全部把握する
- それぞれの納期の意味を確認する
- 設備や他部署などの制約を確認する
- 自分なりの優先順位を考える
- キャパシティの8割程度になったら上司に相談する
という流れです。
そして、相談するときは、
「どうしましょう?」
と丸投げするのではなく、
「僕はこう考えています。こういう条件があります。どれを優先するべきでしょうか?」
という形にします。
これは、以前の記事で書いた「事実を整理してから相談する」という考え方にもつながります。
仕事の優先順位を決めるためには、まず自分の置かれている状況を事実として整理する。
そこまでできれば、上司も判断しやすくなります。
無理をしない方が、結果的に仕事の品質は上がる

最後に、今の自分が新入社員の頃の自分に伝えるなら、
「無理するな」
と言いたいです。
新入社員の頃は、仕事をたくさん任されると、
「頑張らないといけない」
と思っていました。
でも、今振り返ると、僕が頑張ってギリギリまで仕事を抱えたところで、会社全体に与える影響はそれほど大きくありません。
特に僕が働いているようなJTCの子会社では、会社としての仕組みや上司・同僚のサポートもあります。
僕自身、恵まれた職場環境で働いてきたと思っています。
コンプライアンスを重視する会社であれば、無理をして働き続けることが必ずしも評価されるわけではありません。
- むしろ、少し余力を残しておいた方がいい。
- 余力があれば、急な仕事にも対応できる。
- 試験結果を見直す時間も取れる
- 報告書を書くときにも、もう一度考える余裕ができる
そして何より、
少しくらい余力があった方が、品質のいい仕事ができます。
仕事を抱えすぎてから「どうしよう」と考えるのではなく、余力があるうちに仕事の総量を整理する。
これが、僕が10年以上働いてきて感じている、仕事の優先順位を考える上で大切なことです。
まとめ:仕事の優先順位が分からない新入社員へ

仕事の優先順位が分からない新入社員に、僕が一番伝えたいのは、
優先順位を決める前に、まず自分が抱えている仕事の総量を把握しよう
ということです。
複数の仕事を抱えているとき、納期だけを見ていると判断を誤ることがあります。
その仕事を進めるための設備の予定や、他部署の都合なども関係するからです。
まずは、
- 自分が何の仕事を抱えているのか
- それぞれの納期はいつなのか
- その納期は何のためのものなのか
- どんな設備や他部署との調整が必要なのか
を整理してみる。
そして、自分のキャパシティの8割くらいになったら、早めに上司へ相談する。
そのときは、
「A・B・Cの仕事があります。僕はAを優先しようと思っています。設備の予定はこうなっています。どうしましょうか?」
というように、判断に必要な情報を整理してから相談する。
そうすれば、上司に状況確認をしてもらうのではなく、判断してもらうことができます。
仕事が多いからといって、全部を自分一人で抱える必要はありません。
まずは事実を整理して、自分が置かれている状況を見えるようにする。
そして、少し余力を残して仕事をする。
それが結果的に、仕事の品質を高めることにもつながると思います。

