新入社員の頃、僕はよくベテラン社員に質問していました。
分からないことが多かったからです。
ただ今振り返ると、当時の僕は「質問の仕方」が下手だったと思います。
何が分からないのか自分でも整理できていないまま聞きに行ったり、相手に丸投げしてしまったりしていました。
10年以上働いて思うのは、仕事ができる人は知識が多いだけではありません。
相談の仕方が上手です。
今回は、僕が新入社員の頃に知りたかった「ベテラン社員への相談の仕方」について書いてみます。
目次
質問というより相談に近い

仕事で分からないことが出てきたとき、多くの人は「質問しよう」と考えます。
でも実際には、質問というより相談に近い場面の方が多いと思います。
「わかりません」でもいい
若手の頃は、
「こんなことも分からないのかと思われたらどうしよう」
と考えていました。
でも実際は、分からないことを隠す方が問題になります。
分からないなら正直に言った方が早いです。
もちろん、自分で調べる努力は必要です。
ただ、分からない状態で抱え込む必要はありません。
何が分からないか分からないこともある
僕が一番困ったのはこのパターンでした。
何が分からないのか、自分でも整理できていない状態です。
そんな時に無理やり質問を考えても、結局うまく伝わりません。
今なら、
「すみません。何が分からないのかも整理できていません」
と正直に言った方が早いと思います。
その方が相手も状況を理解しやすいからです。
会議でもそうです。聞いた内容そのものが理解できていないこともありました。社内略語や独特の文化が原因で、会議に参加してもついていけませんよね。
→ JTCの会議についていけない新入社員へ
僕が今やっている相談の型

いろいろな人に相談する中で、自分なりの型ができました。
最近思うのは、良い質問ができる人は頭の回転が速い人ではありません。
事実を整理できる人です。
事実が整理できると、
- ルールとの違い
- 基準との違い
- 実際の運用との違い
が見えてきます。
そして、
「何が分からないのか」
も自然と見えてきます。
だから僕は、質問を考える前に事実を整理することを大切にしています。
まず事実を整理する
最初に整理するのは事実です。
例えば、
- 試験結果
- 会議で決まったこと
- 現場で起きていること
などです。
ここでは自分の感想は入れません。
まずは事実だけを整理します。
事実を整理するときに僕がよく使うのが、見開きでA3になるA4ノートです。人や部署の関係、仕事の流れを図や矢印で整理すると、自分でも何が分からないのか見えやすくなります。
→ 仕事のメモはA4ノートがおすすめ【見開きで使うと世界が変わる】
ルールや基準と比較する
次に、
- 社内ルール
- 規格
- 基準書
- 過去事例
と比較します。
JTCでは特に重要です。
仕事の多くはルールや基準の上で動いているからです。
自分の意見を持つ
ここが一番大切だと思っています。
ただ質問するだけではなく、
「僕はこう思います」を持っていきます。
正解である必要はありません。
むしろ間違っていても構いません。
自分なりの考えを持った方が議論になります。
最後に相談する
最後に、
「どう思いますか?」
と聞きます。
例えば、
「試験結果を見る限りA案が良いと思います。ただ、過去の事例を見るとB案もありそうです。私はA案を考えていますが、どうでしょうか?」
という感じです。
すると相手も答えやすくなります。
印象に残っているベテラン社員

若手の頃、とてもお世話になった人がいました。
60歳近い嘱託の部長さんです。
白髪のおじいちゃんでしたが、とても気さくな人でした。
もともとは親会社にいて、その後出向してきた人だったと聞いています。
君が失敗したくらいで潰れる会社じゃない
その人に言われて今でも覚えている言葉があります。
「君が失敗したくらいで潰れる会社じゃないよ。勉強だと思って何でもチャレンジしてみ。」
という言葉です。
若手の頃は失敗が怖いものです。
でもこの言葉のおかげで、少し気持ちが楽になりました。
理想と現実を教えてくれた
その人は、いつもこんな話し方をしていました。
- 「本当ならこうするべきなんだけどね。」(理想論)
- 「でも現実的にはこうするしかないよね。」(現実論)
仕事をしていると、理想論だけでは進みません。
一方で、現実論だけでも本質を見失います。
理想と現実の両方を教えてくれたのが印象に残っています。
相談すると会社が見えてくる

相談の良いところは、答えが分かることだけではありません。
会社の背景が見えてくることです。
ルールの背景が分かる
会社にはたくさんのルールがあります。
でも、その理由までは書かれていません。
相談してみると、
「昔こういうトラブルがあったから」
という背景が分かることがあります。
文化や伝統が分かる
文章化されていない文化や伝統もあります。
相談を通して初めて知ることも多いです。
他部署や他工場との違いが分かる
これは特に面白い部分です。
自分の部署では当たり前だと思っていたことが、他部署では全く違うことがあります。
他工場とのやり取りでも同じです。
相談を通して、
「それってうちではやっていないよ」
と言われることもあります。
こうした違いを知るだけでも仕事は進めやすくなります。
【実例】相談すると見えていない制約が分かる
例えば、エネルギー管理士の仕事をしていた時の話です。
当時の僕は、
「この活動、ISO14001の活動にまとめた方が効率的では?」
と思いました。
そこで上司に相談しました。
すると返ってきたのは意外な答えでした。
それでもいいけど、ISO14001に組み込むと監査対象になるからね。管理項目も増えるし、運用も面倒になるよ。今のままの方が楽だと思うよ。
というものでした。
当時の僕は、
「まとめた方が効率的なのに、なぜやらないのだろう」
と思っていました。
でも相談してみると、
- 効率化できる
- その代わり監査対象になる
- 管理負荷が増える
という別の視点があることが分かりました。
仕事では、「こうした方が良い」だけでなく、「その結果何が起きるか」も考える必要があります。
相談することで、自分一人では見えていなかった制約に気付けることがあります。
相談することで気づける
相談を続けていると、ルールや基準だけでなく、その背景も見えてきます。
- なぜそのルールがあるのか
- なぜその期限なのか
- なぜそのやり方を続けているのか
背景を知ることの大切さについては、こちらの記事でも書いています。
まとめ:新入社員の頃に知りたかった相談の仕方

若手の頃は、質問の答えをもらうことばかり考えていました。
でも今は、相談を通して背景を知ることの方が大切だと思っています。
分からないことがあったら、
- 事実を整理する
- ルールや基準と比較する
- 自分の意見を持つ
- 相談する
この流れを意識してみてください。
完璧な質問をする必要はありません。
まずは自分なりに整理して相談すること。
それだけでも、仕事はかなり進めやすくなると思います。

